2015年『創作ショート』
皆様、日ごろ『抱きしめ合ったら脇汗』のご贔屓ありがとうございます。 といっても正直、贔屓されてる感じは今のところ全くしませんが、とにもかくにも、ありがとうございます。 2015年春から、もてらじ村民として参加させていただき、毎週日曜の更新ペース…
あ、マスターありがと。 はい、ということでね、 みなさん改めましてこんばんは。 まさかこの中に知らない人はいないでしょうけれど、スナック「しがらみ」のママです。 今日はね、あたしの離婚記念日に多くの皆様にお越しいただきまして、とっても嬉しいで…
「まあ、今さら失うものも無いから、話すけど。 あのさ、たい焼きでよく、頭から食べる派とか、尻尾から食べる派とかいう話、するでしょう? 僕の定番はね、握り潰して出たあんこをち○こに塗って、手を使わずに食べるやつなんだけどさ、 ある時ムリして、も…
世の中が、おしりにオープンな世の中になってずいぶん経つ。 10年ひとむかし、なんて言うけれど、本当にそうだ。 10年前は、女が男にお尻をなでてもらうことが、ぜんぜん一般的じゃなかった。 市民権を得た、とでも言おうか。 町の大きなスーパーのテナ…
もうどのくらい経っただろう この前、世界が終りました あっという間でした 生活の空気を残したまま、町並みを残したまま人間はいなくなりました 大好きな妻と、僕だけを残して。 世界が終るまえ、僕は(この人と、世界に2人だけでもいい)とさえ思っていま…
「過去」はもう、決して変わることはありません。 じゃあ「未来」は変わるかというと、 そんな保障は誰もしてくれません。 もし保障すると言う人がいたら、信じたいですよね。 ただ 期待しても、傷つくのは自分です。 「未来」には、ただ希望を持つだけ。 そ…
青酸カリを盛る勇気なんか無いから、代わりにアーモンドばかり食べさせた。 旦那は、ニキビだらけになった。 旦那の事は、好きだし、嫌いだ (この人しか一緒に暮らしてもいいと思える人はいない) そう思う気持ちがある反面 (なんで私のそばにいるんだろう…
僕は死んだ新聞の隅っこに記事が載った“どうして気づいてあげられなかったのか。確かにサインはあった”みたいな事が書いてある 僕は、鼻で笑ったサインをたくさん出したら出したでかまってちゃんだとウザがるくせに
「ねぇ、おねーちゃん。びっちってなあに?」 『…知りたい?』 「うん」 『おねぇちゃんみたいな人のことだよ』 「ふぅん」 それからしばらくして、おねーちゃんは死んじゃった 最後に病院で会ったとき 『ねぇコータ、もうびっちって言葉、使っちゃだめだよ…
「トゥワハ!トゥワハ!」 「ブヒャヒャヒャヒャヒャ!!」 このキノコ工場では、 梱包できないほどに成長しすぎた巨大エリンギが収穫されると必ず誰かが ナイジェリア出身のトゥワハの名前を呼びながらエリンギを股間にあてる。 毎度、凝りもせず、爆笑だ。…
授業中、僕から白い液体が飛びだした。 それは生きているみたいに、ずうっと伸びて、あの娘の口に入っていった。 まわりのみんなは、見えていないみたい。 黒板を見たり、ノートを見たりしてる。 そして、あの娘の喉が(コクッ)と、動いた。 その日から僕は、…
その時だった! お料理教室で習ったばかりの ペンネアラビアータを作れば作るほど 私には無いはずのキンタマが猛烈にカユいのだ! 必死で空中をゴシゴシとコスっていると、 私の頭の中には、 “レタスandエキノコックス” という自作の歌しか浮かばなくなる! …
「わしにも、女の子の時代があったですよ。 裕福じゃなかったけんど、今はそれで良かったと思ってるです。 ずーっとお金があったら、なにが幸せなんだかも 分からなかったじゃねえかと思いますよ」 おばあちゃんはそう言って、 炊きたてのほかほかご飯を、砂…
あのさ、覚えたばかりの言葉をやたら使いたがる男っていない? ほら、あの彼、いるでしょう。 ちょっと知的レベル高いって自分では思っているけど、マイルドヤンキーっていうの?その域をぜんぜん出てないあの人、、、名前なんだっけ? あ!そうそう!それだ…
「人はいつだって、ないものをねだるってホントだよね」このお姉さんは、ラブホテルの中でしか本音っぽいことを喋らないので、僕は話の腰を折らないよう、黙って聞いている「君は知ってる?ねだるっていう漢字。強く請うって書くんだよ」 光の遮られたここで…
うん、そう、前に佳奈ちゃんと一緒に行った3対3の合コンの時の。うん、そう、あのメガネで背高くて一番左にいた人、うん。 デート今日したんだけどね、はぁ… まず20分遅れてきてね。うん、でもそれ自体は構わなかったの、私も遅れることあるし。 でもそもそ…
「自分が価値のある人間かどうかだなんて、 80過ぎたこの年になったって、分かりゃしねいよお。 だから、いいんだ。お前さんもそのまんまで。」 おばあちゃんはそう言うと、さりげなくチョキにした指を、 「火の国熊本!!!」 と突然叫びながら、僕の両目に…
「昔流行ったろ?元“弁当男子”だからさ俺。まかせてよ」 私は会社で毎日、夫の作った弁当を広げる 「いいんだよ。作るの楽しいんだ」 前の夫に暴力を振るわれ続けた話をしてしまったせいだろうか そのせいで哀れな女に思われて優しくされているのかと 疑った…
今は、男が弱い時代らしい。僕はといえば、流行りものに敏感だからかはたまた自分がないからなのか分からないけれどもれなく弱い。特に精神的に弱いらしい。親にも、先生にも言われ続けてきた。学生の頃、陸上の大会に出場して、競技場の個室トイレでうんこ…
君が最後にうんこを漏らしたのはいつだったかなと、そんな冒頭の小説を、僕はまだ見たことは無いが 小学生の頃「がまんだ がまんだ うんちっち」という絵本なら読んだことがある。小学生が下校のさなか紆余曲折を経つつただひらすらうんこをガマンするという…
ギターといえば、まだエレキではなかった アコギなんて言葉もまだない頃僕はアコギをもらった ポロン よく「女の子にモテたくて始めたんですよ、よくあるやつです。そしたら何時の間にかキャリアばかり長くなってしまって…」 なんてミュージシャンのインタビ…
【きょう、おもったこと】 3ねん1くみ いいもり ゆうた きょう、ぼくはふと思いました。 隣のせきの、なかよしの揚子江くんに 「そんなのこうすればいいんだよ。」 とか 「それはきっと、わからないのが普通だから、思うようにしてみるしかないんじゃないか…
「考えすぎたら、疲れちゃう。」 友達がぽつりと、僕に言った。 「そんなの当たり前と思うかもしれないけど、 脳はダムみたいなものだから、 考えすぎて水が溜まればいつかは決壊しちゃうんだ。」 その時僕は、よく意味が分からなかった。 今思えば、僕のダ…
今日、仲良しだった友達が 「あいつは暗いからキライ」 って僕のことを言ってるのを聞いたんだ 確かに僕は明るくないと思う でも、楽しいことは好きなんだ だけど、どうやってみんなの中で 笑っていたらいいか、分からなくなっちゃったんだ だけど僕にはチョ…
久しぶりにヒールのある靴で歩いたせいで、足が痛くなってきた頃に、 たまたま入った喫茶店だった。 私はホットケーキが幼い頃から好きで、バターとかではなく、メープルシロップをかけて食べるのが何より嬉しいおやつだった。 だから、メープルという名前の…
「み、宮下2士は、何で自衛隊入ったの?」 迫2士が話しかけてきた。 自衛隊では、名前を呼ばない。 氏名の氏と、階級でお互いを呼び合う。 僕らは防衛大学出身のエリートとは対極の、 一番下の試験に受かって入った、下っ端中の下っ端だったから、 階級も…
「だめよ。自分で決めるの」『どうして?僕には決められないよ。今までだって、ずっと決めてきてくれたじゃないか』「私は、なんでも私の言うことを聞いてくれる貴方が好きよ。でも、同時に罪悪感もずっと感じているの」『そんなの感じる必要ないじゃないか…
うつ病と診断されたのは、大して暑くも無かった夏の終わりだった。 すこしのショックもあったが、(やっぱりそうか)という気持ちが大半を占めていた。 このベンチャーな会社に、そして会社を通して社会に少しでも貢献できるならと、ひとり夜遅くまで頑張っ…
あたしの素顔は、激ブスだ。自分でいうのもなんだけど、ブスは罪だと思う。ブス自体が罪なんじゃなくて、世の中におけるブスが、罪なのだ。若くて、かわいい女には、青年も、おじさんも、少年もおばさんも、全くかなわないのだから、当然ブスだって、かなう…
小学生の頃から、お好み焼きにマヨネーズで「お母さん」と必ず書いて食べた。 お父さんはそれを見る度、やめなさいと僕を叱った。現実を認めることから、全ては始まるんだよと、毎回同じことを言った。それとも新しいお母さんが来た方がいいのか?とも聞かれ…