抱きしめ合ったら脇汗

1年ごとテーマの変わる冬眠型もてらじ村民ブログ

あたしのGonna Fly Now



あたしの素顔は、激ブスだ。

自分でいうのもなんだけど、ブスは罪だと思う。


ブス自体が罪なんじゃなくて、
世の中におけるブスが、罪なのだ。


若くて、かわいい女には、
青年も、おじさんも、少年もおばさんも、
全くかなわないのだから、
当然ブスだって、かなうわけがない。


若くてかわいい女に許されて、
ブスに許されないことの多さは、
あたしが身を持って、知っている。


ブスは、ドジを踏むことさえ、許されない。


一度、若くてかわいい女友達と同じ場所、同じタイミングで
転んだことがあった。


あの時見上げた、若くてカッコいい男の
困った顔は忘れられない。

あたしが空気として扱われ

あたしだけが自力で立ち上がったことも。



いつか、ぶっころす。



ある飲み会でのことだ。

酒を飲んで盛り上がった男子たちが、美人について話し始めた。


あたしは、ブスの急先鋒として、

「美人は3日で飽きる、って言うよー」

と言ったら、たいしてかっこよくもない年長の男が
真顔でこう言った。


「美人は3日で飽きる、というのは、ブスの自殺を救うための嘘だからね」




あいつ、ぜってえころす。



あたしの決意は固かった。


まず、痩せた。

殺意のみで、痩せた。

殺意ダイエットだ。


鬼の形相で、走った。
走るときに必ず聞いたロッキーのテーマはもはや、復讐のレクイエムにしか聞こえない。


次に、化粧。

5人のプロに、各数時間かけて化粧してもらい、
それを自宅に帰って分析して、あたしの顔が一番変わる、
ほとんど魔術に近い、魔法メイク術を手に入れた。

本当はもうすっかり、心は悪魔そのものだったけど

そこはオトコウケを狙って、小悪魔メイクにさえならないよう、見事にナチュラル(に見えるよう)な完璧すぎる魔法。



「12点」
と、面と向かって言われたことのあるあたしは、

ぱっと見、

というか、どう見ても、95点になった。



まず、あたしが転んだ時に手を差し伸べなかった男を、誘惑した。

誘惑の仕方なんてさっぱり分からなかったが、
95点のあたしに、そんなものは必要なかった。


あっという間に、ホテルに到着。

すぐさま男の身ぐるみを剥いでやった。
そしたらそいつ、雨に濡れたオスの子犬みたいにクンクン甘え始めた。


あたしの心に、グッとこみ上げる黒いものがあった。


スッパダカのオス犬野郎の大事なとこを、思いっきりふんづけてやったら、
「ンンー!!!」
と一度、汚く鳴いて、あっという間に果てた。



あたしの心の黒いものが、全身を突き抜ける。



嬉しすぎて何かをケリたくてたまらず、
使い終わったコンドームみたいにぐんにゃりしてる男を
とりあえず笑いながらケリまくった。


ボコボコにされながら男は「痛いです」とは言うものの、

その顔はどこか嬉しそうだ。



あたしは、

「あんた、ブスって好き?」と男に聞き、

「・・・え?どういう意味ですか?」

と聞き返してくる男に、心の底から言ってやった。




「ばーーーか。」




オス犬をそのままに放置して一人だけサッサとホテルを後にしたあたしは、
街中でショーウィンドウに映る自分を見た。

点数でいえばほぼ満点に近い女が、笑みを浮かべて、そこにいた。

 

 

 





エイドリアーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!