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抱きしめ合ったら脇汗

1年ごとテーマの変わる冬眠型もてらじ村民ブログ

チョコレート戦争

 

 

今日、仲良しだった友達が


「あいつは暗いからキライ」


って僕のことを言ってるのを聞いたんだ

 

確かに僕は明るくないと思う

でも、楽しいことは好きなんだ


だけど、どうやってみんなの中で

笑っていたらいいか、分からなくなっちゃったんだ

 

だけど僕にはチョコレートがある

チョコレートをお腹いっぱい食べれば

たいていのことは甘さの中にかき消されてしまうから

 

ひとりぼっちは淋しいよ

でも僕には友達を作る力はもうないんだ


両親は優しいけれど、

それを解決してくれるなんて、思ってないよ

もう何かに期待するのも疲れちゃったんだ

 

学校にいくのはもう嫌だな

でも、こんな僕が社会人になんてなれるのかな


親の世話になるのも嫌だな

でも、僕には自信がこれっぽっちもないんだ

 

僕は病気なのかな

いっそ病気だったらいいな

それなら希望がもてるから


ああもうチョコレートが無くなっちゃった

また買いにいかなくちゃ


世の中のみんなは本当に、

みんなマトモに生きているのかな

僕には信じられない


外に出て見るお店の人や、働いてるひとは

すごくマトモに生きているように見える

それが普通なの?

どうしたらそんな風になれるのかな

 

だって僕には、闇しか見えない

みんなには、何が見えているの?

暗闇の中に吸い込まれていく恐怖に

狂いそうになるのを、いつもじっと耐えてるだけ

 

僕の逃げ道は、チョコレートだけ

おかしいですか?

おかしければ笑ってください

笑われても、僕はなんにも感じませんから

 

 

 

 

 

 


今日で、チョコレートを買うお金が尽きました

あいかわらず、僕には闇しか見えません

でも僕は、チョコレートがなければすぐにでも

目の前の闇にのまれて狂って死んでしまうので


働くことにしました


すごく恐いけど、闇にのまれるのはもっと恐いので

仕方ありません

僕にはチョコレートを買うお金が必要なんです


学校は、やめました

友達だったみんなは、僕がアルバイトをしているのを見たら

馬鹿にするかもしれません

せっかく有名な学校に入ったのに、と


大きな組織に就職しなかったらいけないと、みんな言っていました

じゃあ僕は今、いけない人なんでしょうか?

僕にはこれでも精一杯です


アルバイト中にたまにぶつけられる悪意だけでも

どうにかなりそうです


でも、チョコレートを買うお金が入ると

とても充実感がありました

僕は小さい人間ですか?

もしそうなら、もうそれで構いません


僕の今は、生きるか死ぬかの二択しかありませんから


生きることも、死ぬことも、とっても身近です

 

 

 

 

 

「チョコレートが好きなの?」

休憩時間、チョコレートばかり食べている僕に

そういって話しかけてきた女の子がいました


「はい。ほとんどチョコレートしか食べないです」

と言うと、女の子は笑いました

その笑顔がとても可愛くて

僕はその女の子が少し、好きになりました


カラッポの僕の人生の中に入ってきたその女の子は

たちまち僕の中をいっぱいにしました

気持ち悪いですか?

でも、僕にとってその女の子の存在は、

生きるか死ぬか二択だけの今までとは違う、人生の厚みでした


一人で考えれば考えるほど、

相手の女の子がどう思っているかに関係なく

僕の想いだけがふくらんでいきました


アルバイトの終わる時間が

その女の子と重なったある日、

すこしだけ話しをしました


僕は勇気を出して、

君のことが好きです、と言いました


女の子は

「嬉しいけど・・・ごめん」

と言いました


嬉しくなさそうでした


勝手に盛り上がっていた自分に気付いて

僕は反省しました


「いえ、こっちこそ、ごめんなさい」

そう言って、僕は彼女に謝りました

 

すごく反省して、すごく恥ずかしくなりましたが、

不思議と、暗い気分にはなりませんでした


女の子は、気まずそうに帰りました


僕はしばらく、そこに立っていました


ポケットに入れていたチョコレートは

少しやわらかくなっていました