【第三の門】壱番
信濃の国のどこか。
その門をくぐって、帰ってきた大柄はいない。
月に二度だけ現れる大柄の門…
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第三の門をくぐりに、長野県は小諸市にやってきた。
店の名前は、『壱番』
せっかく壱番という名前なのに、なぜ紹介するのを三番目にしてしまったのかだけが悔やまれるが、
そんな小ネタなど全力で吹き飛ばすほどの大柄パワーを、この店は秘めている。
外観はいたって地味だ。
パチンコ店の横に、ちんまりと。縁側でおちゃを飲むおばあちゃんの如く、あくまでちんまりと鎮座しているのが、お分かりいただけるかと思う。
しかし、この血に染まった紅の暖簾をくぐると、修羅が待っている。
営業時間は写真の通り。
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AM11:30➡PM2:00
ーー休 憩ーー
PM5:30➡PM9:00
毎水曜定休
By 壱番
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By 壱番
英語である。
唐突であり、実にさりげなく英語を使用する中華屋なのだ。ということが、店に入る前からの情報でうかがい知れる。
カウンターと、小上がり3つ、テーブル1つほどの狭い店内は、今日もお客さんでパンパンだ。早速メニューを。
一応メニューは見るのだけれど、注文するメニューは、既に決まっている。
むしろ前世から決まっている。
これだけが目的で、毎回食べに来るのだ。
唐揚げ定食 950円 である。
(素朴な街の中華屋の唐揚げ定食にしては、ちょっと高めなのね?)
と感じる大柄もいらっしゃることでしょう。
ご安心ください大柄の皆様。現物を実際に目で確認さえすれば、ブッダの如く心が満たされ、平和な心持ちとなり「ひと口ちょうだい?」勢に対しても穏やかな気持ちで慈悲(唐揚げひと口)を与えられることでしょう。
「すみません、唐揚げ定食ください」
『はい、唐揚げ定食ね、唐揚げひとつー!』
と注文を終えてから、唐揚げ界のメテオが目の前に登場するまでにも、楽しむことがある。それは、店のおっちゃんおばちゃんの、口喧嘩である。夫婦なのかは聞いてないから分からないが、ぶちぶちと文句を言い合うのが二人のコミュニケーションなのだと、勝手に理解している。
ある時、カウンター越しによく見える狭い厨房内で激しくぶつかって、おっちゃんが盛り付けようとした唐揚げをひとつ床に落としてしまった。その時のおっちゃんの、あの睨み付け方はハンパじゃなかった。高校生になって初めてのアルバイトであの睨まれ方をしたら、一瞬で世間の厳しさを知れるくらいには恐ろしかった。
しかし、睨まれる側のおばちゃんも、遠くから先輩を見つめてハンカチーフをもじもじさせていた、ウブな女学生だった頃とは年季がぜんぜん違うので、睨みなどまったく意に介さず。
そんな風に、一旦のんびりとした気持ちになるが、唐揚げの登場で夢から醒める。
「はい、唐揚げね」
ドン
多分、なにも伝わってはいない。
黒澤明でも、この迫力は映像では再現できまい。
唐揚げのうしろにはてんこ盛りのキャベツがあることも。
手前のこのご飯の盛りようも。
斜め上から、アップ気味に見てみよう。
この高さ。
真横からの撮影じゃなく、斜め上からで、この高さが出てることに関して、よく考えてみてほしい。ここのおばちゃんはバランス感覚が優れているようで、こんな隙間だらけの唐揚げテトリスタワーを一度も崩すことなく、テーブルに運び続けるのだ。
では、タワーをくずして、広げてみよう。
パーティ?
今日は唐揚げパーティの日なの?いいえ違います。
あなた一人で食べるんです。
逆に言えば、あなたが一人で食べていいんです。
数にして毎回17~18個ほどの、この唐揚げを。
「ガブリ、ガブリ」と食べ進める。うまい。
途中、たっぷりつけてくれてある、和からしなんかを塗りたくりながら、またひとつ、ガブリ、ガブリと。
肉はもも肉だ。僕は胸肉の唐揚げが好みだけど、ここに来ると好みとか関係なくなってしまう。全然気にしない。気にするのは、(今日も完食できるのかどうか)だけだ。
壱番の唐揚げ定食は、大柄の登竜門だと勝手に思っている。
大柄には二種類いると思う。食べる大柄と、食べられない大柄。
運動しない勢に、食べられない大柄が多いような気がするし、実際に以前、壱番に一緒に来た『運動しない大柄』は、ここの唐揚げを残しまくった。
その残した唐揚げを、自分の唐揚げ定食を完食した後の、小柄な僕が食べた。
その大柄と僕の体重差は、50kg以上あった。
世の中には、食べられない大柄もいれば、食べる小柄もいるんだと、勉強になった。
僕は、ここの唐揚げ定食を完食できなくなったら、引退しようと思う。
何から引退なのかはサッパリ分からないけれど、とにかく二度と、「けっこう食べる方です」とは口にしない。決して。ネバーだ。
だが、引退は、まだ先になりそうだ。
ということで、これをご覧の大柄の皆様も、引退をかけて、是非信州にお出かけくださいましね。
最後に。
・ここの冷やし中華大盛りも半端じゃない
・「味噌ラーメン。大盛で」と注文した青年が、おばちゃんに「あっ?大盛?入らない!入らない!」(たぶん器にという意味)と言われているのを見たことがある
・ここの最も高いメニューである、かつカレーライス1150円を注文してる人をまだ見た事がない
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さて締めは並行企画
腕立て100回への道
企画説明はこちらから↓
計測4回目!前回は30回。いくぞっ
【結果】
前回の体重 61.4kg(6/24)
今回の体重 61.9kg(7/8) +0.5
前回の腕立て 30回
今回の腕立て 32回 +2
良かった。少しだけ増えた。
ただ、12月までに100回は、ぜんっぜん間に合わないペース!!まずいぞ!
次回、第四の門へ・・・