オコノミ
小学生の頃から、お好み焼きにマヨネーズで「お母さん」
お父さんはそれを見る度、やめなさいと僕を叱った。
現実を認めることから、全ては始まるんだよと、
それとも新しいお母さんが来た方がいいのか?とも聞かれた。
お父さん、何言ってるんだろう。
僕のお母さんはもう、お好み焼きなのに。
と言うとちょっと大袈裟かもしれないけど、
僕は、彼女ができるたびに、お好み焼きを作ってとお願いした。
「でもさ、ナルミ君てお好み焼き食べた後って、
当たり前だろう。
じゃあ逆に聞きたいけど、
僕は、母性(それが勘違いだろうとも)を感じたいのであって、
初めて関西に行った時、
お店の人がお好み焼きを焼いてくれることに驚愕した。
僕は店員さん(しかも女性だ)に、マヨネーズで『お母さん』
一緒に行ったその時の彼女は、露骨に嫌な顔をした。
「あなたのお好み焼きに対する想いは、
この女は何を言ってるんだろう。と思った。
お店にくれば、女の店員さんに『お母さん』
なら、君はほとんど用なしじゃないか。
きっちり1週間後、僕は関西に引っ越した。
仕事はやめた。
あの彼女は、捨てた。
理由を正直に話したら、「ふっざけないでよおおお!」
だって、関西のお好み焼き屋には、僕の全てがあったのだから。