テンゴク
「まあ、今さら失うものも無いから、話すけど。
あのさ、たい焼きでよく、頭から食べる派とか、尻尾から食べる派とかいう話、するでしょう?
僕の定番はね、握り潰して出たあんこをち○こに塗って、手を使わずに食べるやつなんだけどさ、
ある時ムリして、もうちょっと根本の方まで食べようとしたら、首の骨が折れちゃったんだ。」
話し終えると、目の前のイスに座って聞いていた、小柄な上に童顔のせいで、化粧が全然似合ってない仏頂面の女の子は、
意外にも可愛らしい笑顔を見せた。
笑顔は魅力的だったが、笑われたら何だか急に、間抜けすぎる自分に嫌気がさしてきた。
今すぐこの場から去りたい衝動をこらえて、とりあえず女の子にもココに来た経緯を尋ねると、
「あ、私はあのー…バイブを2つか3つくらい同時に使ってたんですけど、そのうちの一番おっきなやつを、もうちょっと強力にしたくて、先っぽ入れたまま配線いじってたら、感電しちゃって。」
…僕はひとつ大きな息をついてから上を見上げて、
あの世って意外にいい所だと思った。